中学受験をしていると、親子関係が悪化したり、中学受験をなぜするのか迷ったり、自分の子育てはあっているのだろうかと迷ったりすることがありませんか?
また、偏差値にとらわれて子どもを虐待してしまうかもと不安になるときがありませんか?
私は、中学受験のときに母から教育虐待を受けた経験があるので、自分の子どもの中学受験ではそうならないようにしようと心に決めています。
どうしたらウェルビーイングな中学受験にできるか?良い親子関係を築けるようになるのか?子どもや家庭に合った学校選びができるのか?どうしたら中学受験をしてよかったと思えるようになるのか?といつも考えています。
でも、ただ考えるだけで自己流ではなかなか実現できないので、中学受験や子育てに関する本を沢山読んだり、中学受験の専門家のユーチューブを観たりして日々勉強し、気づきを得ています。
本は、先人たちの英知の結晶。本には、中学受験をするときに親が知っておいた方がよい知識や覚悟、よりよい中学受験をめざすためのヒント、ぶつかっている課題を解決するためのヒントなどが沢山書かれています。
この記事では、私が読んだ本の中でも、ウェルビーイングな中学受験にするために役立つと思った中学受験本を2冊厳選してご紹介します。
「中学受験をして本当によかったのか?10年後に後悔しない親の心得」を読んだ感想
本書を読むと、中学受験は最終ゴールではないこと、中学受験をした後の10年後の子どもの幸せを考える必要があることに気づかされます。
言われてみれば当然のことなのですが、中学受験に夢中になっていると、目前のゴールしか親子ともに見えていないことが多いのです。
教育ライター小山美香 中学受験をして本当によかったのか?10年後に後悔しない親の心得 日本実業出版 2024年
本当に中学受験をしてよかったのかどうか、それがわかるのは、10年後、いや20年後、30年後、あるいはもっと先かもしれません。
教育ライター小山美香 中学受験をして本当によかったのか?10年後に後悔しない親の心得 日本実業出版 2024年
本書は、実際に中学受験をしたお子さんが中学受験後にどうなったか実話が沢山出てくるのが特徴。
「チャレンジ校にラッキーで入学したけれどその後不登校になってしまった子」や、「第一志望校には落ちてしまったけれど合格した学校で学年トップになり、東大合格後に社会に出てからも活躍している子」などが紹介されています。
私が一番印象に残ったのは、第3章の「親の声かけひとつで滑り止めも楽園になる」に出てくるダイキ君のお母さんの声かけでした。
ダイキ君のお母さんは、滑り止めで受かった学校のことを決し手悪く言わないし、勉強しなさいと決して言わなかったそうです。言葉の重要性が分かったうえで、いつでも本気で褒める。ポジティブな声かけをする。その言葉にダイキ君も救われたと書かれており、本当に言葉の大切さを改めて考えさせられました。
私の母は、「最難関校に入らなければ意味がない」と言い続けていましたし、その当時付き合っていたママ友に煽られて、ママ友の子どもと私を比較し続けていました。
私は、当時四谷偏差値55程度の女子校に合格しましたが、母の望むような最難関校ではなかったので、母がとてもがっかりしていたことを記憶しています。
娘の受験で色々勉強するまで、私の中学受験は失敗したと思っていましたし、母校はとてもレベルが低い学校だと信じていました。自己肯定感もとても下がりました。
母から違う言葉をかけられれていたら、もしかしたらもう少し違う人生だったかもしれないとは思います。
娘には、どの学校に合格したとしても、「大丈夫!ここはあなたに合った最高の学校だよ!」と言えるようにしたいと思います。
その他、本書には、塾選びや学校選びの大切さ、睡眠不足が子どもにどんな影響を与えるかなど、保護者が知っておいた方がよいことが沢山書かれています。
また、本書の第9章では、日本における幸福学の第一人者、慶應義塾大学大学院の前野隆司教授が、「中学受験に挑戦する親の心構え」や「幸せな中学受験にするはどうしたらよいか」を教えてくださっていて、とても参考になりました。
私も、前野隆司教授の研究室がアンケート調査から導きだした幸せに影響する「4つの心的因子」(①やってみよう!因子②ありがとう!因子③なんとかなる!因子④ありのままに!因子)で中学受験に挑もうと思いました。
ウェルビーイングな中学受験を目指す私には、バイブルとなる本でした。
「中学受験生を見守る最強メンタル!」を読んだ感想
本書を読むと、中学受験は親も子どもと一緒に成長するチャンスなんだということに気づかされます。
第1章は、中学受験を終了した保護者とおおたとしまささんの振り返り座談会。
中学受験が終わったお母さんたちは、中学受験をして子どもが得たものもしっかりと分析していてすごいなと思いました。中学受験が終わった後は、こんな風に中学受験を客観的に捉えなおすことができるんだと思いました。
第2章から第5章には12の相談事例が掲載されていて、おおたとしまささんとリアルな相談者の会話形式で進みます。
そして、相談事例ごとに、親の視野を広げてくれるエクササイズポイントが36掲載されています。
36のエクササイズポイントは、どれも親の思い込みや心の癖がずばりと書かれていて、親にとっては耳が痛いところではあります。
でも、多くの事例に接した経験から導かれたおおたとしまささんのメッセージによって、凝り固まった思い込みや心の癖から解放される感じがします。
もちろん、本書を読んだだけではすぐに心の癖は変えられないかもしれませんが、何度もエクササイズの内容を思い出して、繰り返し意識することで、少しずつ思い込みや心の癖から解放されていくのだと思います。
私が、一番印象に残ったのは、おおたとしまささんの次の言葉。
必ず偏差値が下がることはあるし、勉強が嫌になることもある。必ず、ですよ。そういうネガティブなことが起きたときにどうやったらそういう状況を子どもの内面の成長の肥やしにできるかを考えるのが親の腕の見せ所。
おおたとしまさ 中学受験を見守る最強メンタル!光文社 2023年
私は、娘の毎月のテストの偏差値が下がらないようにという思いから、テスト前に「テスト勉強は大丈夫なの?テスト前なのだからもっとやったら?」と言ってしまい、娘が反発して喧嘩になることがよくありました。
私が、なぜ子どものテストの偏差値が下がるのがなぜ嫌なのかを考えてみると、「子どもがショックを受けるので可哀そう」「子どもが合格できる学校が少なくなってしまうので可哀そう」と思うから。
でも、おおたとしまささんが言うように、人生生きていれば必ずネガティブなことが起きるので、失敗させないために成績をどう伸ばすかを考えるのではなく、失敗や挫折を子どもがどういう風に乗り越えていくかを一緒に考えるのが親の仕事なんだと気づきました。
子どもが辛い思いをしているところを見るのは親も辛いですが、子ども自身が乗り越えるのを見守る忍耐力も親は必要なんだと思います。
第6章では、どの親の心にも魔物(偏差値などに取りつかれること)が潜んでいること、魔物を鎮めるために自分を赦すこと、最初から完璧な親なんていないということが書かれています。
最初から完璧な親なんていません。私だっていまだに親としては失敗の連続で、いつもベストな受け答えや思考ができるわけではありません。失敗しながら少しずつ学び、成長していけばいいんです。失敗を学びに変えるヒントとして、本書を読んでもらえたのなら本望です。子どものテスト後の解き直しと同じです。
おおたとしまさ 中学受験を見守る最強メンタル!光文社 2023年
この部分を読んで、私はほっとしました。
私は、子どもにポジティブな声かけだけできるような親ではなく、子どもと喧嘩をすると言ってはいけないことをつい言って、子どもを傷つけてしまうような親です。
喧嘩の度に、「私はなんてダメな母親なんだろう」ってへこみ、子どもに謝るということを繰り返しています。
でも、本書を読んで、親だって失敗していいんだ、次回失敗しないようにどうしたらいいのだろうと考えて少しずつ成長していければいいんだと勇気付けられました。
中学受験の本番当日、あるいは中学入学後になるかもしれませんが、成長した自分を感じられるように、学んでいこうと改めて思いました。
まとめ
ウェルビーイングな中学受験にするために役立つと思った中学受験本を2冊ご紹介しました。
2冊を読んでみて思ったことは、「やってよかったといえる中学受験にできるかどうかはやはり親次第」ということ。
私たちは、子育ての仕方について、誰かから教えてもらうことなく親になります。
子育ての中の一つである「中学受験」についても、やり方を教えてもらうこともなく初めての経験です。
そのため、課題に直面したとき、どういう対応をすればよいのか全く分からなくて当たり前なのです。
そんな時に役立つのが本です。おおたとしまささんが言うように最初から完璧な子育てや中学受験をすることができる人はいません。
数年後、10年後に「中学受験をしてよかった」と思えるようにできるよう、本を読んで失敗を学びに変えていきましょう。